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2012年5月8日火曜日

改めて団体紹介と代表紹介

震災から1年以上が経ちましたが、改めて私たち大根コンプロジェクトの紹介をしたいと思います。そこで私たち大根コンプロジェクトや主幹となっている吉野屋、その主人でありプロジェクト代表の吉野崇が紹介されている「中尊寺寺報関山」と「JR東日本ステイションリテーリング復興支援ソザイヲ、メグルタビ」で掲載された紹介文を載せたいと思います。

これを見ていていただいて大根コンプロジェクトがどんな団体か、触れていただけたら幸いだと思います。

大根コンプロジェクト
吉野崇

なぜなぜ黒い土から白く育つ♪

 もう六年前になるだろうか、有機農法を志した妹の、はじめて育てた野菜が大根だった。 
十月に入ってから種を蒔いたので農業を知る先輩方からは、芽が出たからといって土に植えるのはやめた方がいいとさえ言われていた。
十二月に入り、なんとなく気になって畑に大根を見に行った。
もう季節は初冬に入り霜も何度も降りていた。
初冬の澄んだ青空に冷たい風が吹いていた。
空を賑わしていた柿の木の豊かに色づいた葉は大地の模様となり、柿の実だけが三つ、四つ青空に浮いていた。
木々の葉っぱがなくなることで空が広く見えるせいだろうか、この季節はなんとなく自分が小さくなったような気がする。
色とりどりの葉っぱに埋もれつつある小さな大根は緑の葉っぱを空へと伸ばし、凛とした姿で迎えてくれた。
土をまじまじと見ることはなかなかない日常、改めて出会う大根の育つ力に感動した。
頭の中で巡るように、これまでの生命についての学びが浮かんできた。
『そうそう君も僕と同じ生命じゃないか、素晴らしい力があるのだよ。素晴らしい力で守られているのだよ。』そう励まされているような気もした。
運動療法士として体の仕組みを伝え、体を育てる仕事に携わる。
生命の仕組みは本当に素晴らしい。そして、生命を育むこの空間の仕組みも、知れば知るほど素晴らしく完璧なのだろう。変化するものもあれば変化を生みだすものも在る。
運動療法で出会う子供たちの天真爛漫な笑顔やおじいちゃん、おばあちゃんそしてアスリートたちの何かに気づいて思わずほころんだすっきりとした表情との出会いがこの仕事から得る最高の贈り物だと思う。
震災の現状を目の当たりにし、仲間と共に微力を尽くす。
混沌とした状態の中では人は疲れを隠せず、言葉は乱れることもある。
すべてを受け入れる態勢を築いていくことも大きな学びの一つだった。
ただ一つ、命をつなぐという意志が人と人を結び大きな力となる。
雨が川となり、川がタービンを動かし電気を作り、電気が人の知恵を生み出す動力となるように、行動は違えど集まる志が次々と変化し、さまざまな力となって行く姿を目の当たりにした。
衣類、食料、日用品など、物資が山のように集まった。情報を集め、空いている車を手配し運搬する日々が続いた。燃料が尽き始めたときもまた身近なお寺の若き青年が力を与えてくれた。あの時の思いに燃えた凛とした彼のまなざしとさわやかな笑顔を忘れることはないだろう。お寺の大きな力がどれほどの人たちの心を優しく包んでくれたことだろう。
「大根コン」を歌ってくれていた子どもたちはどうなっているのだろうか。
立ち寄った保育園で現状を知った。震災から三週間がたとうとしていたが、おやつすら手配できなくて半日保育すらてはいできない、これでは親たちが動けない。子供たちの心身を守る事も難しいという。一刻も早い一日保育の実現に協力していきたい。
未来を創る子どもたちが、夢と、希望を存分に、育めるよう、その土壌を耕すこともできる。
この世界には命を生み出す力がある。命には可能性を生み出す力がある。
今後とも心身のケアに携わりながら、出来る限り本来の力が出しやすい状態に仲間と共に活動していきたいと思う。
あの大根の姿を思い出すことによって、あのとき感じた大事なことをいつもそばに置きたい。
歌う事で思い出し、力が湧けばと歌にした。
歌う事は私たちにとって思いを語る事だと思う。
かつて、初代藤原清衡公がその切実な願いを宣(の)べ、行動に移し、町を作り上げた力を見せてくれたように、わたしもまた、この私の生きる世界で思いを掲げ表現して行きたいと思う。









JR東日本ステイションリテーリング復興支援ソザイヲ、メグルタビ
岩手の表現者

 大正4年に創業し、間もなく百周年を迎える菓子店『吉野屋』。私たちが平泉で出会った、その4代目・吉野崇(よしのたかし)氏はこの地に生まれ育った、生粋のいわてっ子。3代目の父親と一緒に、山登り、スキー、田んぼでのアイスホッケー…と大自然の中で幼少時代を過ごした。四季折々に彩りを変える風景。その中で命をはぐくむ自然の尊さを学んだという。第一印象は、明るくて気さく。楽しい話題と屈託のない笑顔で場を盛り上げる。けれど、軽い印象はない。それは強い信念にすべての行動が裏打ちされているからだろう。
 「菓子づくりは、出来る限り地元の食材を使うようにしています。といっても、例えば、周辺のどこそこの名水がおいしいから、それを使用するのではなく、水道の蛇口をひねれば出てくるこの地域の水の成分を調整して。ちょっと手間はかかりますが自分が求めている水にするんです。」ごく普通の水道水を自らの理想へと育てていく。店舗を改装し、椅子やテーブルを設置したのも、こだわりの一つ。目指したのは自分たちでつくる、地域の人たちや観光客の憩いの場だ。

僕の曲『大根コン』が力に。

年2回ほど店の奥にスペースを設け、『イーハトーブ音楽祭』を開催している。ここでのイーハトーブの意味は、良いハート飛ぶ、らしい。なんともユニークなタイトルだが、参加者が自由に表現してコミュニケーションしてもらいたい、という願いが込められている。
 もちろん彼自身も表現者のひとり。それはお菓子だけでなく、音楽でも広く知られるところ。2005年より音楽活動を開始し、2010年4年には作詞・作曲した『大根コン』がNHK盛岡放送局(いわてみんなのうた)に採用された。素朴で暖かいメロディーとキャッチ―なフレーズが子どもたちからお年寄りにまで親しまれ、地元で大ヒット。この曲が実は予想外の所で役に立った。東日本大震災への復興支援の時だ。震災直後の被災地は混乱が続き、支援に行っても逆に不審に思われる事も。そんな時、たまたま着けていた『大根コン』のマスコットを見て、「あ、大根コンの人だ」と受け入れてくれた。そうして保育園などにお菓子を提供したり、避難所に救援物資を届けたり、運動療法士として心身のケアにも尽力した。彼らは自らが実施するさまざまな復興支援を[大根コンプロジェクト]と称し、今も活動を続けている。

 平泉を丸ごと味わってみて。

「平泉には世界遺産があります。ただ、それだけを見るのではなく、平泉の街そのものを楽しんでもらえたら嬉しいですね。そのために自分が出来ることはどんどん実践していきたいです。」今回、平泉を訪ねてみて、その意味がわかった。観光名所はもちろん、街角のお店を覗いてみると、あちこちに色とりどりの活気が湧き出ている。これは一度では味わい尽くせない。ぜひ、二度三度と足を運んで、じっくりと楽しみたいと思った。





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